【3/16 今日の朝刊】斜陽産業の老舗に学ぶ、「徒労感」に光を当てた変革手法


毎日の気になったニュースを経営の視点で読み解く「今日の朝刊」です。 本日は、2026年3月15日の日経MJより、100年の歴史を持つ老舗印刷会社「白橋」のリブランディング事例を取り上げます。

ペーパーレス化が叫ばれて久しい今、印刷業界は「斜陽産業」の筆頭のように語られがちです。しかし、創業100年を超える老舗が、その歴史という「重み」を「武器」に変え、全く新しいビジネスモデルへトランスフォームした姿には、停滞感を感じているすべての経営者が知るべき「生き残りの本質」が詰まっています。

「うちの業界はもう先がない」と諦める前に、まず足元の「現場の愚痴」を拾い上げることから始めてみませんか。

100年企業の老舗が挑む、アナログとデジタルの融合

同社が2026年3月に本格リリースした「MY DM」は、従来の「バラまき型」ダイレクトメール(DM)の常識を覆すサービスです 。

記事では以下のように紹介されています。

白橋副社長が仕掛けたのは、同社が得意とする小ロット多品種のデジタル印刷(バリアブル印刷)技術と、独自システムの掛け合わせだった。

(中略)

紙面に顧客ごとに異なる可変QRコードを印字し、送付先の相手がスマートフォンで読み込んだ瞬間に、営業担当者の元へ「いつ・誰がアクセスしたか」がリアルタイムで通知される特許技術を活用している。

単なるバラまきだったDMが、顧客の関心度を即座に測れる強力なツールに化けるのだ。

「顧客の行動ログが蓄積されるため、他社への乗り換えを防げる。印刷業には珍しいストックビジネス化を実現できる」と白橋副社長は自信を見せる。 

2026.3.16_日経MJ新聞

開発を主導した白橋昌磨副社長は、新卒時の証券会社時代、ひたすらチラシをポスティングしても「誰が興味を持ったか分からない」という強烈なドブ板営業の徒労感を味わってきました 。これがこのサービスの原体験となったようです。

既存事業を「再定義」するには、現場の「徒労感」を解決せよ

この記事から学べる本質は、「顧客が本当にお金を払いたい価値は何か?」を見極め、自社のドメイン(事業領域)を書き換えるという決断です。

顧客が真に欲しているのは「きれいに印刷された紙」そのものではなく、その先の「見込み客との接点」です。白橋副社長は、自身の「チラシを撒いても誰が読んでいるか分からない」という現場の不満を放置せず、テクノロジーで解決しました 。

これと共通する構造を持つのが、販促物の共同配送を行う「MIC」の事例(2026.3.6日経新聞から)です。メーカーが良かれと思って送る店頭POP等の販促物は、実は店舗に届いても3〜4割しか設置されず、多くが「倉庫の肥やし」になっていました。MICはこの「無駄(徒労)」に着目し、必要な分だけを仕分ける物流サービスを構築し、全国の店舗の6割をカバーするまでに成長しました 。

どちらの事例も、業界に染み付いた「当たり前」を捨て、「顧客の営業支援・効率化」という視点に立ち返ったからこそ、新しい収益の柱を見出せたのです。技術的な解決策(QRコードや物流網)は、目的を正しく設定した後に付いてくる「手段」に過ぎません。

不満の種を収益に変える、自社サービスの「動詞化」

本事例から学ぶ、今日から取り組めるアクションを紹介します。それは、自社の看板を「動詞の解決策」として定義しなおすワークフローです。

白橋の事例では、顧客がDMを撒く本当の目的を「誰が興味を持っているかを知りたい」という動詞で捉え直しました 。 証券会社時代の白橋副社長が感じた「チラシを撒いても、誰が読んでいるか分からない」という強烈な徒労感を解消したのです 。

MICは、店舗側の「販促物の管理や梱包に忙殺されている」という状況に着目し、ビジネスを「現場の負荷を減らし、無駄を削ぎ落とす」という動詞で定義しました 。

顧客は「印刷物」や「配送」にお金を払いたいのではありません。「見込み客を特定したい」、あるいは「店舗の作業を楽にしたい」という切実な欲求を叶えるためにお金を払う、ということが読み取れるかと思います。

まとめ:「○○業」をやめてみよう

御社の事業を、あえて「〇〇業」と言わずに、「お客様の〇〇(動詞)を解決する仕事です」と紹介するとしたら、どんな言葉がしっくりきますか?

その言葉と「現場の徒労感」が見つけること、これは経営者しかできないところです。「QRコードなんて発想や、特別な技術はないよ」と感じられるかもしれませんが、技術面の解決策は後からどうにでもなります。まずは「解決したい気持ち」ドリブンです。

ぜひ、自社の経営に役立ててください。


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